NORTHERN NATURE

 Philosophy

私たちの想い

 

当社ではペットフードに使用する

エゾシカの仕入れの際、

私(代表)が必ず

契約ハンターさんに同行し、

狩りの一部始終を共に行動します。

そのため一度に多くの原材料を

仕入れることができず、

在庫はギリギリだったり

切らしていることも

しばしばあります。


「買いたいときに品がないのは困る」

というお声をいただくこともあります。



 なぜこのようなことを

しているのかと言いますと、

“クリーン・キルで仕留められた

鹿のみを扱いたい”

という想いがあるからです。


クリーン・キルとは

「急所を一発で仕留めて、

獲物に苦痛を与えない」

という理念で行う射撃のことです。

クリーン・キルで仕留めると、

鮮度・肉質が良く、

衛生的にも良好な状態の

エゾシカ肉を手に入れることが

できます。


そしてなにより、

獲物に不要な痛みや恐怖を与えず、

命をいただくことができるのです。


クリーン・キルの手法としては

頭部を狙うヘッドショット、

頸部を狙うネックショットの

2種類があります。


ヘッドショットは脳を、

ネックショットは頸部の背骨を砕き、

内部の神経回路を破壊することで

素早く命を断ち、即死させます。


クリーン・キルで

仕留める以外の状況、

例えば狙いが外れて息絶えるまでに

時間がかかった場合、


●恐怖・ストレスによる体温上昇

 ↓

鮮度の低下


●逃亡・抵抗

 ↓

筋肉内部にも血液・リンパ液が広がる

 ↓

肉質の低下


●内臓破壊

 ↓

肉に臓器内の体液が付着

 ↓

細菌増殖

といったリスクが

高まります。



当社の契約ハンターさんは

私が同行する時、

忍び猟という方法で狩りを行います。


忍び猟とは

「獲物に忍び寄って獲る」こと。

食害被害にあった

農家さんからご依頼を受け、

ご依頼者様の敷地内

(畑や牧草地、森など)で

獲物の痕跡(足跡や毛)を追ったり、

獲物の行動パターンを読んで

場所や餌場に行ったり、

時には先回りして

待ち伏せたりします。


エゾシカはスコープで

狙われていることにすら

気づかず、発砲後、

ハンターさんと私が

倒れた場所に到着する頃には、

頭部や頸部に弾を受け、

すでに息を引き取っています。


北海道内のエゾシカによる食害は甚大で、

北海道 環境生活部 自然環境局の調査によると、

鳥獣別被害額は


1位 エゾシカ44億円8千万円

(前年40億7千万円)


2位 カラス類が2億7千万円

(前年2億7千万円)


3位 ヒグマが2億6千万円

(前年2億5千万円)

だそうです。


被害金額は、平成23年度の

64億円をピークに減少。

近年は上記の3割程度

減少していますが、

個体数は横ばい傾向です。


害金額の多い上位3振興局は、

釧路が12億8千万円、

上川が5億3千万円、

オホーツクが5億1千万円となっています。

(ちなみに厚岸町は、

釧路振興局に入ります)


※上記データはすべて

北海道 環境生活部 自然環境局調べ 

令和3年度分


エゾシカによる食害の実態と

駆除という事実は現実に存在し、

これらを今すぐに止めることは、

残念ながらできかねます。


しかし、いただいたその命を、体を、

できる限り活かして

次の命につなぎたい。


また、仕留める際に

獲物が抱く恐怖や苦痛を

できるかぎり少なくすることが、

良質な原材料を得ることにつながる。


こうした想いや事実から、

クリーン・キルで仕留められた

エゾシカのみを扱う

ペットフード製造販売事業を

始めました。


私は数年前まで都市部に暮らし、

長らくメディア制作の業務に

就いておりました。そして、

2019年に地域おこし協力隊員として

北海道に移住し、今に至ります。


東京などの都市部とは異なり、

北海道では毎日野生動物を目にします。

そのたびに感じるのは、

私たちは同じ命として等しく、

自然の中に存在しているということ。


生命の大きな巡りに

感謝と畏敬の念を抱きながら、

これからも丁寧に

仕事に取り組んでいきたいと

思っています。


フィヨルド商会代表 

澤田純子